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【スクラッチビルド】カール・イーベッツ 1897パテント試作ガス圧作動ピストル

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Carl J. Ehbets カール・J・イーベッツ(エベッツ、エーベッツ、エバッツ)氏の「US特許 580,935 1897年4月20日」のパテント試作、
「1897パテント試作、ガス・オペレーテッド(ガス圧作動式トグル・リンク・ロック)・セミオートマチック・ピストル」
そのパテント試作、プロトタイプを、ディスプレイ模型として再現、FDM式3Dプリント・ABSプラスチック製にてフルスクラッチビルドにて作製した。

プラスチック製・カート非装填、撃発機能なし(ハンマートリガー共に形状のみダミー)、手動可動ディスプレイ・モックアップ模型・モデルガン
外観・1/1サイズ再現と、閉鎖・作動機構の手動可動の再現を主眼とした。
フルスクラッチビルド作製(ABSプラ・樹脂パテ)。特徴のレバー・トグル、バレルフォワード式の作動を再現した。(動きの再現のみ、カート非装填)
トリガー・ハンマー機構無し手動可動のみ、バレルも貫通無しのプラ棒、マガジンも再現や作製無し(今回一体成型)。

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今回のスクラッチモデルにてコマ撮りアニメーションさせてみたもの。(煙エフェクトはCGで追加)




●実物の概要
このイーベッツ氏の 「1897ガス圧作動パテント試作ピストル」(C.J.Ehbets US patented 580,935 1897/4/20)は、
ブローニング氏の「1897ガス圧作動パテント試作ピストル」(J.M.Browning US patented 580,923 1897/4/20)と同日(1897年4月20日)にパテント取得されている。
皆さんもご存じのように、J・ブローニング氏が全4種の作動違いピストル特許を取得した記念すべき日である。1911ガバメントスライドの最初に記されている。

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(コルトm1911のスライドサイドの最初の特許取得日1897/4/20。MGC製モデルガン)

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(下記参考文献、ezell氏による名著ハンドガンオブザワールドより。
二機種の順が誤っている、しかもそのひとつ(シンプルBLKの機種)は裏焼きである!
(これより前の、FNの項目ページにて左右の写真有り、多分に校正時にこのページレイアウトに体裁よく治める為にあれこれ検討された時のミスかと思うが、もしもよくあるハリウッド映画のポスターのようにレイアウトの為にワザと裏焼きにしたとなれば、この高名な専門書らしからぬ、残念なことだ。)

構成やメカニズム的には、当該特許(C.J.Ehbets US patented 580,935 1897/4/20)を読めば、バレルフォワードの構造で複雑な部分はあるものの、(銃器のメカニズムに精通されている方にとっては)理解はしやすいとは思うが、単にその作動の部分部分だけでなく、
「どうしてこの構成となったのか?、その意図は?」
を理解するためには、前述のブローニング氏の1897ガス圧作動パテント試作との関連として考えないと理解しがたいのでは思うし、またその当時経緯や関連をみないとこの発明品の本質を見逃すように感ずる。
研究対象や専門分野・興味範囲によってすべてを網羅することはいかに専門家研究者にとっても難しいことは判るが、これらは数多語られ研究者も多いガバメントの開発史には必ず登場するであろう話題であり、いずれm1911に結実する出会いの最初のエピソードでもある。開発史の裏側をのぞける好個の例なのに。専門書といわれる書籍を複数閲覧したとて、見逃している部分はこれに限らず大いにあるのだろうな。

構成的には(機構的に複雑化しがちな)特徴のバレル前進式(バレルフォワード)式も、なぜ採用したのかというような疑問も、後述の通り理解しやすいであろう。
(※多くの書籍に「ブローフォワード」と記載されているが当然間違いである。専門家と称する方々がなぜそのような誤解するのか疑問である。安易に作動の印象で語っているのか、単に語感が似ているからなのか。ガス圧作動なのでブロー式とは根本的に違う。動作の機能的には主にはカートの装填排莢のオートマチック機構のためにバレルを可動させているにすぎない。※正確にはこの動作の意図はもう一点あるのだが後述する)

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(記念すべき、両1897試作モデルを並べる。世界広しといえども、この模型再現はここだけではないだろうか!?)
参照・弊作成過去記事
【スクラッチビルド】ブローニング M1897 ガス圧作動5 完成https://garlandsgunland.blog.fc2.com/blog-entry-49.html
【スクラッチビルド】ジョン・ブローニング 初のオートマチック・パテント試作 https://garlandsgunland.blog.fc2.com/blog-entry-110.html

個人的には、イーベッツ氏とブローニング氏のそれぞれのガス圧作動試作ピストルは、「対」にして考えなければいけない兄弟のようなものと考える。
このイーベッツの試作銃はブローニング氏に送られたとのエピソードもあるようだ。
イーベッツ氏とブローニング氏の親交は終生続いたという。

天才肌の(職人気質の?)ブローニング氏と、やはり才能あり実務もこなす(学術肌の?)イーベッツ氏の、それぞれの才人同士の邂逅の最初の記念モデル達といえよう。

ブローニング氏の1897パテントにてつくられたコルトオートマチックの1900の45口径版のM1905は、1905年からの米軍ピストルトライアルに提出された。
そのトライアル期間中の数年での、M1905からM1911(ガバメントモデル)への長足の進化と洗練は、カール・イーベッツ氏を長とするコルト技術者達の実務の力がかなり影響しているのは容易に想像できる。
今に続く1911開発のプライマリーネームはもちろんブローニング氏だが、それを完成となしたセカンドネームは間違いなくイーベッツ氏であろう。
旧前としたM1905から、M1911に実務的に洗練されたことにより100年以上、今も現役の稀代の銘銃となった1911モデルはブローニング氏とイーベッツ氏(を長とする数多のコルト技術者の賜物でももちろんあるが)両氏のもとで完成した。100年の普遍性を数年で手に入れた訳だ。

実際、ブローニング氏は発明は得意であったが、それを図面化するのは苦手だったようだ。
氏の興味の大半は発明・考案のほうにあったということだろう。(※ガンプロ誌2021/02号記事FNハイパワーピストル開発史 床井氏)
発明家が主となり(拘りをもって)製品化するより、相応のプロデユーサ・技術者の手が入った方がオリジナリティは薄れがちではあるが洗練されやすいことは想像に難くない。
現在のプロダクトでも研究開発と製品化技術は別物であることは大半であろう。
ブローニング氏の発明家としての割切りも、今も続く数々の氏の成功作に繋がるところも大であろう。

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弊参考記事 M1911 ガバメントへの道、歴史

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参考 弊スクラッチ記事 コルト M1909(M1909/1910仮称)再仕上げ
1905年からの米軍制式ピストルトライアル中にはコルト技術者の多大な強力があったであろう。
セーフティ方式ほかコルト技術者の1911につながる特許も多いことからも明白であろう。
(ちなみにグリップ角度は1910までは1905同様。弊過去記事でも書いているが1911のマガジンフロアー(フォロワではなく底部板)の角度は1900、1905から続いた角度を残しているのが面白い。)
個人的には1905製品の後、試作1907,1909を経て1911は共同プロジェクトの感が強い。

そのため後年のブローニング複列オートパテント(のちにハイパワー1935となる試作)は、なるべく1911ガバメントの構成やパテントを採用しない方向となっており、これはFNでの販売もあることからブローニング氏は新しい発案ということのほかにコルトに遠慮(というかもっと切実なコルトの特許や販売権)もあったのではと推察する。
しかしFNではブローニング氏死後に、FN上層部の方針によるもの(多分にこちらが主だと推察)か、それとも社内技術者サイーブ氏自身の采配か、によりコルト1911に近いメカ・デザインを織り込み、ハイパワー1935として製品化されることとなった。
(ブローニング氏御大が存命ならこの改変は具申出来なかったように愚考する。多分には、ブローニング氏の開発アシスタントであったサイーブ氏の意向ではなく、FNの社内判断でだとは私は推察する)

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(ディスプレイ模型として再現した、両氏の1897ガス圧作動試作と、コルトM1905,※1911のみMGC市販モデルガン)

この両者の1897ガス圧作動試作は、後に1911に結実する、布石ともとれ、天才と実務の二人の特質や関係性までも垣間見られる試作達であり、以降の関わり合いも示唆する対のモデルであり、個人的に非常に興味のあるものであった。

ちなみにJ.ブローニング氏の特許のM1905頃からM1911をはじめとして、M1905ロータリーバレル特許やコルトウッズマン等々コルトのブローニング氏に関する特許署名には、Atty(Attorney)代理人(弁理士資格?)(アメリカパテントを担当したコルト側の)として、カール・イーベッツ氏が担当され、ともに署名が記載されており、これも強い関わり合いを読みとることができると思う。

子細に記載すると本が一冊かけてしまうような内容で私には荷が重いが(別途考えたい)、簡単に概略解説するに留める。
これらに興味のある向きには、ぜひ複数資料や特許等で自身で考察等されたうえで、お話しなどできれば嬉しく思う。
(浅学な筆者が大きな口は叩けないが、残念ながら、メカの突っ込んだ話、その歴史や関連等になると、ムック本は言うに及ばず、洋書・専門書でも、誤解や勘違い間違いが散見されるように見受ける。まずは疑念をもって、鵜呑みにしないで、複数の情報に当たることが肝要のように思う。)

以下の記事も、私の類推や妄想、愚考も多いので、鵜呑みにしないように!!
特許図や諸々資料から自分なりに咀嚼した推察や感想である。


●カール・J・イーベッツ(C.J.Ehbets)氏について
コルト社のチーフエンジニア/デザイナー、顧問弁理士(?)
コルトのエンジニア、ウィリアム・メイソン氏とともに、初のモダン(実用)DAスイングアウトリボルバー(現在はコルトネービーリボルバーM1889と呼ばれる)を世に送り出した。
初期の開発はメイソン氏だが、途中でコルトを辞めてしまったので、後半、最終的にはイーベッツ氏が特許取得と製品化を担当されたのだろう。
また、天才J・ブローニング氏とともに、1911(ガバメントモデル)の開発者、セカンドネームとしても有名だろう。

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(下記参考文献、ezell氏による名著ハンドガンオブザワールドより。
イーベッツ氏のガス圧作動オートマチック特許。最初のものはブローニング氏より早く出されている)

1890年初め頃からコルト内でもオートマチックピストル、ガス圧作動の実用は研究されており、(ガス作動のブローニング機関銃M1895ポテトディガーをコルトで作製していたので当然ではあろう)
主任技術者デザイナーである、イーベッツ氏は、ブローニング氏よりも先に1894年にガス圧作動のピストルの特許を取得している。(C.J.Ehbets US patented 570,388 1896/10/27、提出1894/10/29)
セルフローダー、リボルバー、ベルグマン式マガジン等、当時代的デザインではあるものの、作動はピストン式であり、レバー式よりも先見性があると見受ける。

1895年頃にブローニング氏がコルトにオートマチックピストルのパテント試作をもってきたときから、イーベッツ氏はブローニング氏の天才を見抜き、コルト(コルト・パテント・ファイアーアームズの名前通り)にてパテント取得と協力をと強く主張したようだ。天才は天才を知るであろう。


●イーベッツ氏1897ガス圧作動パテント試作の経緯について

特許を読んでの私の感想である。
前述のようにこの特許はブローニング氏の特許と同日1897/4/20に取得されている。
(C.J.Ehbets US patented 580,935 1897/4/20、提出1896/2/14)
ブローニング氏のガス圧作動の提出は1895/9/14で、こちらイーベッツ氏の提出はその数か月後の1896/2/14となっている。

コルトの当初の社名コルトパテントファイアーアームズ「Colt Patent Firearms」の通り、製造とパテントに力を入れており、
当時形になり始めたオートマチックピストルについても早めに調査・研究を始めていた。

そんなおり、J・ブローニング氏が一番初めにコルトに見せたオートマチックピストル、ガス圧作動(1897パテントモデル)は、
(当時ハンドガンとしては)比較的強力な弾薬(後の.38コルト・オートマチック弾薬相当と推察)と、レバー作動とブリーチ後座の慣性とで、
Z軸モーメントが大きく、まさにミニ・ポテトディガー!?、じゃじゃ馬的で、作動や連発等、諸々問題があったようだ。それは、特許図をみても、後付けのように思えるトリガーの二度引き防止の機構設計などからも推察できるように思う。
(比較的大きな弾薬を用いたのは、まだまだ未知のオートマチック作動に充分な力を得ようとしたからと推察する。)

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(昔ネットで見つけたもの出自を失念してしまいましたが、スイマセン貼らせて頂きます。
ブローニングの歴史漫画のようです、拝読したいです。どなたか心当たりある方居ませんか!?)

ブローニング氏の最初のレバー式ガス圧作動は、やはり難ありで採用を見送り、改良か、
もしくは他の案を考えてくれということになった。(それで後に他3種の案を考え出すことになる)

さて、その最初のガス圧作動パテント試作の試射に立ち会った、コルトのチーフエンジニア/デザイナーであるカール・イーベッツ氏は、
自身も、すでにコルト社内でガス圧作動を研究試作設計(パテント提出)していることもあり、
このブローニング氏方式において、設計のどこを改良すれば良いかを考えたはずである、エンジニア、実務者とはそういうものであろう。
(エンジニアであった自分の凡人の身に置き換えても!)

そして、ブローニング氏のガス圧作動 M1897を自分なりに改良した案(やはり天才であろう後述のように合理的だ)を、実務者らしく設計し、早速試作・パテント提出することにしたのだろう。

もしかしたら、この時点では、デザイナー・技術者として、少々のライバル心もあったかもしれないが、後のイーベッツ氏のブローニング氏との生涯の交友関係や、コルトの仕事での影ながらの貢献(これ以降も数々の特許をだしているが作動方式に関しての特許はないように見受ける。天才ブローニング氏の作動方式を超えるものは無いと感じたのだろうか!)等のひととなりを鑑みるに、そういう感覚はあまりなかったのではないかなとも思う。

また、この時点では、コルト側でも社外デザイナーの特許ではなく社内の人の特許が使えればという思惑もあったかもしれない。もしくは老舗のメーカーとしての意地や面目も少々あったのかも。
また、自社デザイナー特許が同時にあったほうが特許使用料の交渉等企業戦略的にも良さそうだ。

ともかく、この時点で、このブローニング氏のガス圧作動オート(提出95/09/14)、その数か月後に、このイーベッツ氏のガス圧作動オートが特許提出(96/02/14)されたわけだ。

ここで少し話が前後するが、私が最初疑問に思ったことがある。
この時点で、イーベッツ氏がなぜブローニング氏のレバー式をわざわざ採用・改良したかだ。
イーベッツ氏自身はこれ以前にすでにガス圧作動を研究しており1894年に特許提出しすでにバレルからガスをピストン方式で導く方式で特許を取っている。今もガス式としてはこちらのガスポート・ピストン式が主流であり、この方法のほうがレバー式より洗練されていると思うのに。
ここもまだまだ私の研究不足で考えが至らないところだが、
現在でも、ガス圧作動のガスポート設計は難しく、肝要なのは、いかに導入ガス圧をいいタイミングで外に逃すかのようである。(仮に逃さないとしたらガスルートやボルトほか全ての部品がチャンバーバレル並みの強度が必要となりお話にならない!ボルトも吹っ飛んでくる!)
最初期1894年~頃のこの時点、ガスポート方式だとガスの安定等の問題(今もガスポートの設計は難しいようだ)で作動が上手く出来なかったのは想像に難くない。
そこにいくとレバー式は、最初のインパクトだけであとはすぐにガス解放でき(強力なガス圧を逃すかがガス圧作動の肝のようだ)、またレバーの重量慣性もあるので(暴れはともかく)作動自体の安定は得られやすそうだ(しかも1895機関銃での実績もある)。そしてブローニング氏の試作をみて、自分の特許よりも可能性を感じたといことは考えられる。)

コルトからの要請もあり、ブローニング氏は、持ち帰り、数か月後にさらに他3種の案を考え出し、特許提出となる(96/10/31)
ショートリコイル式二種(バレル沈下(パラレルルーラ)式、バレル回転式)と、シンプルブローバック式の3種だ。

このブローニング氏全4種と、イーベッツ氏1種の、全5種が1897年同日にUS特許となる。

ご存知のように、ブローニング氏、イーベッツ氏のガス圧レバー作動方式よりも、利に勝ったショートリコイル(バレル沈下(パラレルルーラ)式)が、M1900としてほぼそのまま採用、市販されることとなる。

既載の関連特許を提出(出願?)順に並べてまとめてみよう。

●patented 1896/10/27 
C.J.Ehbets     570388 Gas Ope  filed 94/10/29 

●patented 1897/4/20 
J.M.Browning  580923 Gas Ope  filed 95/09/14 
C.J.Ehbets      580935 Gas Ope  filed 96/02/14 

J.M.Browning  580924 parallel  filed 96/10/31
J.M.Browning  580925 rotary    filed 96/10/31 
J.M.Browning  580926 blowback filed 96/10/31


1897/4/20のブローニング氏の4つの特許のうち、3種は閉鎖機構をもっている((ガス利用)トグルリンク式、ショートリコイル式二種)。パテント図から弾薬はのちの38ACP(ブローニング氏設計)相当のようだ。

シンプルブローバック式もあるが、本試作での強力な弾薬(のちの.38ACP相当,周知と思うが.380ACPでは無い!)では、やはりロッキング作動は必要であったろう。これは弾薬を弱いもの(.32ACP このためにブローニング氏が設計)を使用することによって解決し、ブローニングの欧州パテントを預かったFNよりM1900(M1899)として発売され当時の大ベストセラーとなる。

一方コルトは軍用拳銃を狙っていたので、このまま大きな弾薬(.38ACP ブローニング氏が設計)が使用できる(閉鎖機構のある)、バレル・ショートリコイル・パラレルルーラ方式を選択、アメリカ初の市販オートマチック、コルトM1900として発売されることとなる。

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(コルトの1897/4/20の特許のうち、閉鎖機構のあるオートマチックは揃った。
パラレルルーラー試作の内容は、ほぼそのまま市販のコルトM1900に受け継がれたので、代理としている。M1900は頑住吉氏のガレージキットレジン製ディスプレイモデル。
4つの特許の残りのブローバック試作は、興味範囲外のため製作していない(筆者は閉鎖機構に興味があるため)。後年、その要素をもとに製品化されたFNのM1900がモデルガンで販売有ればいいのだが。。せっかくだし作製してみるかな?)(※追記。後日製作しました。)

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※後日、これら関連模型を作成し、1987/4/20特許関連モデルをすべて自作で並べることができました。(構想25年、これら製作期間10年近くかかりました、ひとまず一段落です。自分の心の額縁に飾りたいです)
・ブローバック式パテントを製品化した FN M1900。
・パラレルルーラー式ショートリコイル特許の製品化したコルトm1900の45口径版 M1905。

【スクラッチビルド】FN Browning M1900完成
【スクラッチビルド】コルト M1905 パテント試作モデル https://garlandsgunland.blog.fc2.com/blog-entry-59.html
【スクラッチビルド】ブローニング M1897 ロータリーバレル・ショートリコイル


●イーベッツ氏1897ガス圧作動パテント試作の構成やメカについて

長々と記述してきたがやっと本題。氏がなぜ、奇異にも見えるこの構成・構造にしたのか。
前述のように、この理解のためには、ブローニング氏の1897ガス圧作動パテント試作との関連として考えることが、その本質を理解しやすいものと信ずる。
(こちらも特許を読んでの私の推察が含まれることを留意いただきたい)

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(本来はイーベッツ試作の左側のエジェクターは可動だが、弊模型では固定ですので、この状態では、正確には前進しておりこの位置ではない。
動きは下記のCG動画で再現していますのでご覧ください。)

特許から構造・メカはほぼ理解できたつもりである。
ガス圧作動レバー式トグルリンクロック・バレルフォワード式の構成や機構は明白であろうし、
そのためのマガジン給弾リップメカやハンマー起動等々、細かいことを書くと際限がないが、
個々の部分や全体構成などみても興味あるところばかりである。(書籍にするかも)
興味ある方は自身で勉強されたし。

さて、イーベッツ氏は、当時主流のロッキングであるトグルリンク機構やガスレバー方式の作動は良さそうだから、ともかくは、そのじゃじゃ馬ぶりをなんとか押さえこもうと考えた。
その方策として大きくは
・弾薬を弱いものに変更、
・レバーとブリーチバック作動によって引き起こされるZ軸モーメントの低減
・トリガー二度引きの危険の排除
等であろう。

弾薬は、特許には載ってい無し写真もないことから、当時実在のカートリッジと、特許図面から、口径と弾薬長、ケース長から推察した。(識者にもご教示いただきました)
多分に、口径は約9mmであり、「.38ショート・コルト・ショート・ケース弾薬、かそれに類する物」であろう。
弱い弾薬でも十分威力をだせるよう、バレルはなるべく長くしたいとも考えただろう。

第一にこの弱い弾薬にすることで、かなり問題は解決しやすくなっていくのではないだろうか。
銃自体もコンパクトにかなり握りやすくなっているように思う(今回実際に模型製作しての感想)

トグルレバーの跳ね上がりの影響を最小限とするため、トグルレバー重量をできるだけ軽減する。
しかし、トグル作動でメインスプリングに抗って150度ほども作動させるためには大きな慣性(運動量)も必要なので、ある程度の質量は必要であろう。

スライドブリーチバックのマス慣性をなくすため、スライド構造を無くしたバレルフォワード式とし、前進するバレルでレバー作動の慣性を相殺する(効果を得られる可能性がある)いわゆるカウンター構造とした。(反動の方向を逆向き等で相殺する手法は今も最新式の銃で使われている。)
これこそが、この銃の構造にした(アイデアの)最も大きな理由であると考える。
(後述のようにメインスプリング配置も合理化できる等のメリットもある反面、構造・作動的にややこしくなる面もあるが、それよりも第一にブローニング試作にみられたじゃじゃ馬的作動を抑え込もうとしたのだろう)

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さらにバレルフォワード式とすることで、コンパクトに銃身長を長くすることができる。
(※これはバレルフォワード式の利点である、弊スクラッチのシュワルツローゼ・ブローフォワードの記事にても論じた通り。参考【スクラッチビルド】シュワルツローゼM1908 再掲

ブローニング設計では設計的にも苦しかったスプリング機構もンプルな構造にできている。
下記はM1897ブローニング試作のメインスプリングチェーンリンク構造の参考(弊スクラッチでも再現している)
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対して、イーベッツ氏特許ではシンプルなメインスプリングの配置・構造にできている。
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ブローニング氏試作でも起きたであろう暴発の万一の対策のため(ブローニング氏特許でも装備されている、多分に対策で後付けされたように見受ける)
トリガーロックで二度引きしにくくする機構、

ほかにも、グリップ形状も跳ね上がりを抑え込みやすい形状になっている(模型で実感)
等。。。。合目的、合理性に富んでいる。

デザイナーらしい独自アイデアと、実務者らしい細かい設計で、ブローニング・ガス圧試作の欠点部分を改修している。
バレルフォワードは(作動方式は違うが装填排莢の機構的にはブローフォワードと同)、装填排莢が少々複雑になる(マガジンリップがレバー構造)し、ハンマーの起動も構造的に設計や調整も苦しくなるが、そこもそつなくまとめているように思える。
(残念ながら弊プラスチック模型ではハンマー起動は強度や調整精度的に難しかったのでオミットし手動の可動のみとしている)

シンプルさではブローニングだが、ブローニングのほうはじゃじゃ馬だしトグルのスプリング部分等にも設計の苦しさがでている。このレバー・トグル方式はいろいろな意味で難しいのだろう。

ちなみにイーベッツ氏のこの試作モデルは、ブローニング氏に贈られたというエピソードがある。
実物が今も現存しているかは不明だ。実物写真は私が調べた限りでは2枚だけ。


●今回の模型について
プラスチック製・カート非装填、撃発機能なし(ハンマートリガー共に形状のみダミー)、手動可動ディスプレイ・モックアップ模型・モデルガン
トリガー・ハンマー機構無し手動可動のみ、バレルも貫通無しのプラ棒、マガジンも再現無し(今回一体成型とした)。プラのみでスプリングやネジも無し。
外観・1/1サイズ再現と、閉鎖・作動機構部分の手動可動の再現を主眼とした。
(複雑で作製が難しい内部メカの再現は全てオミットしている。)

CGにてモデル作製を行い、ABS樹脂FDM式3Dプリンタでパーツごとおおむね作製、組立や不足部分をABSプラ・樹脂パテにてスクラッチビルド作製。
自分の興味箇所、閉鎖機構を再現したいため、面倒なトリガーメカ等は作製無し、トリガーは不動、ハンマーもピコピコ動くだけの飾りである。
トグルリンクレバーでハンマーを起こす機構(レバーで回転のシンプル機構なんだけど)は再現したかったが、設計調整のむずかしさプラの材質強度のなさから今回はオミット。
特徴のレバー・トグル、バレル前進式の作動を再現した(動きの再現のみ、カート非装填)。
カートの装填排莢はしないため、そのためのカートストップ機構や左側イジェクターの可動や等の機構も一切なし。脱着式マガジン(カートストップ付き)も取り外し無しの一体成型とした。
(このあたりの機構も興味深い。説明もしないが特許を読めば理解できるかと思う。)


稀代の銘銃1911を生んだ二人の出発点であり、後に1911に結実する、布石のような、天才と実務の二人の特質や関係性までも垣間見られる試作達であり、
以降の関わり合いも示唆する、この2モデルは個人的に非常に興味のあるものであった。

個人的に長年構想を持ってきたモデルだが、形状や構成が複雑で作製が難しく(ブローニング氏のガス圧のは直線的でシンプルでプラ板作製しやすい)、
なかなか作製出来なかったが、FDM樹脂3Dプリント方式のおかげで、(興味範囲内のみ再現の模型ではあるが)完成でき嬉しい。

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(銘銃1911への布石となるまさに記念のモデルだ!MGC製モデルガンM1911と)

モデリングし作動の様子もCGにて再現した。
(※アートステーションのページに高解像度を載せています。

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(CG作業画面。MAYAは未だ不慣れだが、最近は多少慣れてきた。)

下記、CGアニメーションでの作動テスト(左側面のエジェクターの動きも再現してあります!)



下記、今回のスクラッチモデルにてコマ撮りアニメーションさせてみたもの。
(煙エフェクトはCGで追加)






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(1897~1898の初期の興味ある作動のオートマチックのフルスクラッチ達。
ロス・クルンカ1897 ロングリコイル、シュワルツローゼ1898 ロータリーボルトショートリコイル、M1897ブローニング試作 ロータリーバレルショートリコイル、M1897ブローニング試作 ガス圧作動トグルロック、M1897イーベッツ試作 ガス圧作動トグルロック)

参照USパテント
●US580935「C.J.Ehbets   特許 580,935 1897年4月20日」提出 1896/2/14
●US580923「J.M.Browning 特許 580,923 1897年4月20日」提出 1895/9/14
●US570388「C.J.Ehbets  特許 570,388 1896年10月27日」提出 1894/10/29
ほか

参考webページ
●※ジョージア語(グルジア語)「iaragi.comの武器とカートリッジについて」
”カールJ.エーベッツの不明ピストル達”
ほか

参考書籍
●Handguns of the World: Military Revolvers and self-loaders from 1870 to 1945 by Edward C. Ezell (Author)  1992
●ピストル弾薬事典 床井雅美著 (並木書房)2016
●マスターピースピストル"世界の傑作拳銃" (ホビージャパンMOOK 834) ムック 2017
●月刊Gun Professionals 2021/2月号(ホビージャパン)FNハイパワーピストル前編(床井雅美)
ほか


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